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まぶたの病気

Eyelid disease

麦粒腫

■ 麦粒腫とは

俗に『ものもらい』と呼ばれている病気で、原因は細菌感染によるものです。
汗を出す腺や、まつげの毛根に感染したものと、マイボーム腺に感染したものがあります。
ものもらいの原因はウィルスではなく、誰の皮膚にでも住んでいる雑菌が原因なので、人から人へうつることはありません。
ものもらいを繰り返す人は体質などもありますが、糖尿病がある人は抵抗力が弱いためにできやすいようです。
ちなみに『ものもらい』という名称は、よその家から食べ物をもらうと治るとうい言い伝えが元になっているようです。

■ 症状と経過

まぶたの縁に赤みが出現し、触ったり瞬きをすると痛みを感じます。
炎症が強くなってくると、赤みや腫れ、痛みも強くなり、化膿が進むと膿が出ることがあります。

■ 麦粒腫の治療

症状に合わせて抗生物質の点眼や内服を行います。
早めに治療を開始すれば、これらの薬で細菌の働きが弱められ、腫れや痛みも軽度ですみます。
化膿が進んで腫れが大きくなった場合は、切開して膿を出すこともあります。

■ 注意すること

・患部を触ったりこすったりしないようし、清潔を心がける。
・女性の方はアイメイクを極力避け、クレンジングをしっかりする。
・コンタクトレンズの装用は控える。
・前髪が目にかからないようにする
・アルコールや刺激の強い食べ物は避け、規則正しい生活を心がける。
・過労やストレスを避け、十分な睡眠をとる。

霧粒腫

■ 霧粒腫とは

目に脂を分泌する腺が詰まり、慢性的な炎症が起きる結果、肉芽腫という腫瘤ができる病気です。
麦粒腫(ものもらい)とは異なり、細菌感染を伴わない無菌性の炎症です。
上下左右のまぶたに次々とできることはありますが、無菌性の炎症のため人から人へうつることはありません。
治るまでに2~6ヶ月かかることもあります。

■ 症状と経過

まぶたを上から押さえると、コロコロした固まりがあるのがわかり、重苦しいような不快感を覚えます。
腫瘤が小さいうちは、放っておいても急に大きくなることはありません。
腫瘤は徐々に大きくなりますが、普通は赤くなったり痛んだりはしません。
まれに細菌などが感染して炎症(急性霰粒腫)を起こし、腫れて痛むこともあります。

■ 霰粒腫の治療

細菌感染防止のため、症状に合わせて抗生物質や抗炎症剤の点眼を行います。
腫瘤が小さければ自然に吸収されることもありますが、大きくなると外見上の問題もでてきます。
肉芽腫が大きい場合は副腎皮質ステロイド薬を腫瘤に注射したり、外来での簡単な手術で腫瘤を摘出する必要があります。
急性霰粒腫に対しては、麦粒腫(ものもらい)と同じように抗生物質などで消炎をはかります。

■ 注意すること

・患部を触ったりこすったりしないようし清潔を心がける。
・アルコールや刺激の強い食べ物は避け、規則正しい生活を心がける。
・過労やストレスを避け、十分な睡眠をとる。
・高齢者では腫瘍との鑑別が必要なこともあり注意が必要。

眼瞼炎

■ 眼瞼炎とは

眼瞼炎とはまぶたに起こる炎症で、まぶたの皮膚に起こる「眼瞼皮膚炎」、まつげの付け根あたりに起こる「眼瞼縁炎」、目尻に起こることが多い「眼角眼瞼炎」に分けられます。
眼瞼炎には、細菌やウイルスに感染して起こる「感染性」のものと、薬品や化粧品などに対するかぶれやアレルギーで起こる「非感染性」のものがあります。

■ 症状と経過

まぶたの縁に小さい湿疹ができ、破れたりかさぶたをつくったりするため、痒みや痛み、まぶたの赤みや腫れなどの症状がみられます。
経過は長いことが多く、再発を繰り返して数年間も続くことがあります。
痒みや外見の他に問題になることは少ないですが、潰瘍性眼瞼炎の場合はまつ毛が抜け落ちてたり、まぶたの縁の瘢痕化などがみられることもあります。

■ 眼瞼炎の治療

感染性の場合は抗生物質による治療を、ヘルペスウイルス性のときは抗ウイルス薬を用います。
非感染性の場合はまぶたをよく洗って清潔を心がけ、併せてステロイド薬を用います。

眼瞼下垂

■ 眼瞼下垂とは

眼瞼下垂とは、上まぶたが垂れ下がって目をしっかり開けられない状態をいいます。
先天性のものと後天性のものがあり、先天性が約80%を占めます。後天性は頻度は低いのですが、重大な病気が関係していることがあるので注意が必要です。
片目の場合と両目の場合があり程度も色々ですが、ひどいものでは全く瞳が見えないほど下がっているものあります。

■ 眼瞼下垂の原因

・先天性眼瞼下垂
眼瞼挙筋(まぶたを開く筋肉)の発育不全が原因で起こります。

・後天性眼瞼下垂
加齢によって起こることが多いですが、なかには動眼神経や交感神経の麻痺、筋疾患、まぶたの腫瘍などが原因で起こっている可能性もあります。
眼瞼下垂によって高血圧や糖尿病などの循環障害や、脳腫瘍や脳動脈瘤などの重大な病気が発見されることもあります。

■ 眼瞼下垂の治療

後天性の場合、原因となっている病気そのものを治療することが第一です。
乳幼児で先天性の場合、閉じた方の目は物を見る機能が育たなくなり、弱視になる可能性があるため注意が必要です。

逆さ睫毛

■ 逆さまつげに原因

逆さまつげには『眼瞼内反症』と『睫毛乱生症』のふたつがあります。

■ 眼瞼内反症について

まつげが生えているまぶた自体が眼の方に向かってしまうために起こり、目の表面の角膜や結膜に傷をつけることもあります。
小さい子どもは特に下まぶたがふっくらとしていて、まつげが内側に入っていることがよくありますが、ほとんどの場合3~5歳ごろには自然に治ります。
また、お年寄りの方は皮下脂肪が少なくなり、上まぶたがやせてたるんでくるため、それによってまつげが内反することもあります。加齢によって涙の分泌も減っているため、目の症状が出やすいのが特徴です。

■ 眼瞼内反症の症状

逆さまつげは目に何も症状がなければ、そのまま放置しておいてかまいません。
しかし、ゴロゴロする、涙や目やにが増える、充血する、まぶしく感じるといった症状が出たら、結膜炎や角膜炎を起こしている可能性があります。
さらに、角膜が何度も傷つくと白濁して視力が落ちることもあるので注意が必要です。このような症状に気づいたら、早めに再度診察を受けてください。
小さいお子様は痛みを訴えることは少ないのですが、目をこすったり、まばたきの回数が増えるので気をつけて見てあげましょう。
また、生後間もない赤ちゃんでも涙目や目やにが多いときには注意が必要です。

■ 睫毛乱生症について

まつげの生えている向きが不規則に乱れるために起こり、眼瞼縁炎やトラコーマ、やけどなども原因のひとつと言われています。放置しておくと角膜障害を起こすことがあるので、きちんと治療することが必要です。

■ 睫毛乱生症の症状

まつげが角膜や結膜を刺激するため、涙が出たりゴロゴロしたり、程度が強くなると角膜を傷つけるため視力が低下したりします。

■ 睫毛乱生症の治療

診察の際に角膜や結膜に向かって生えているまつ毛を抜く(睫毛抜去)を行い、角膜や結膜の障害が軽度であれば、点眼薬や眼軟膏で治療します。症状が強い場合は毛根の電気分解や、手術でまつげを外に向ける方法もあります。

涙嚢炎

■ 涙のう炎とは

涙道の閉塞と涙のうの細菌感染によって起こり、慢性涙のう炎と急性涙のう炎があります。
ひどい目ヤニから見つかることの多い病気で、赤ちゃんにもよくみられます。
赤ちゃんの場合、涙の通り道に構造的な問題(先天鼻涙管閉塞)があって起こることもあります。
成人の場合は慢性的な炎症がほとんどで、特に女性に多くみられます。

■ 涙のう炎の症状

・慢性涙嚢炎
涙嚢に細菌がが繁殖したもので、涙のうにたまった膿が眼のほうに逆流し、ひどい目ヤニが出ます。
長期的な治療が必要ですが、治療によって一時的に症状が軽減しても、完全に直りにくいのが特徴です。

・急性涙嚢炎
慢性涙嚢炎が急に悪化したもので、涙嚢部が強く痛み、腫れと赤みを伴います。
先天的に涙道の閉塞のある新生児にも見られ、出生直後から流涙などがみられますが、これに細菌感染が加わると急性涙嚢炎となります。

■ 涙のう炎の治療

慢性涙のう炎は抗菌剤の点眼、急性涙のう炎は抗生物質の点眼を行いなす。
定期的な涙のうマッサージや、外来治療による涙のう洗浄も効果的です。
鼻涙管閉塞は、赤ちゃんの約1%に見られますが、多くの場合が自然に治りますが、生後3か月を過ぎてもまだ目ヤニが続くようなら、ブジー(針金のようなもの)を鼻涙管に通す治療を行います。
それでも通らない場合は、手術を行うこともあります。